基本情報
ハードカバー 120ページ 188*247mm 635g ISBN : 9788932922072
本紹介
自ら「滑稽デッサン作家」と自分を紹介するジャン=ジャック·サンペの新しい作品集。ジャン=ジャック·サンペは初めて見る人でも暖かさを感じ、簡単に目が離せないほど吸引力を持つ絵を描く。か弱い線と淡々とした彩色で、人間の内面の懐かしさと物足りなさ、そして孤独な姿まで捕捉する。彼の絵にはこの世の哀れな犠牲者たちが澄んで率直ながらも、透明な表情で姿を現す。
著者と翻訳者の紹介
ジャンジャック サンペ (Jean-Jacques Sempe) (著者)
最初の作品集が出た時、すでにフランスでデッサンの第一人者として挙げられた世界的な絵作家。細い線と淡々とした彩色で人間の内面の孤独さを表現し、時にはユーモラスなドローイングで日常を愉快に展開した。1932年、フランス·ボルドーで生まれたサンペが絵を描き始めたのは、少年時代の楽団演奏者を夢見てからだ。自分が尊敬するジャズミュージシャンたちを一枚一枚描き、音楽だけでなく絵に対する情熱も共に育てたのだ。1960年ユーモア作家ルネ·ゴシニと共に『ちびニコラ』を作り、この作品が大成功を収め挿絵家としての名声を得た。1991年パトリック·ジュスキントの『ゾンマー氏物語』の挿絵を描き、同年に発表した『深い異性の友人』と『自転車に乗れない子供』は映画や戯曲をたった一編のデッサンで要約できる彼の能力を如実に表わした名作だ。1991年、サンペが30年間描いてきたデッサンと水彩画が「パピヨン·デッザール」で展示された時、現代社会に対して社会学論文1千編より多くのことを語ってくれるという評価を受けた。
フランスグラフィック美術大賞を受賞したことがあるサンペの作品集としては「中途半端な競争」、「パリスケッチ」、「ニューヨークスケッチ」、「顔が赤くなる子供」、「格別な心」、「人生は単純なバランスの問題」、「フランススケッチ」、「ずっと耐えて!」などがある。これまで30冊以上の作品集を発表し、これらの本は世界各国の言葉に翻訳出版された。2021年に発表した『サンペのスケッチブック』はサンペがどんな方式で絵を描くのか、作品アイデアはどのように汲み上げるのか少しでも気づくことができる彼だけの長い作業日誌と同じだ。2022年8月、享年89歳でこの世を去った。
最新作:「サンペのスケッチブック」、「ずっと耐えて!>、<サンペの音楽>···計298種
ヤン·ヨンラン(運び屋)
ソウル大学フランス語仏文学科を卒業し、パリ3大学で仏文学博士課程を修了した。『コリアヘラルド』記者と『時事ジャーナル』パリ通信員を務めた。訳した本として『生命経済への転換』、『哲学者の食卓』、『なぜ世界の貧困は消えないのか』、『ロボットも恋をするのか』、『貪欲の時代』、『人間の島』、『一人じゃないよ』、『プロメテウスの金属』などがある。
出版社提供の本紹介
私は俳諧デッサン作家です。
滑稽なデッサン作家ではありません。
ただ<滑稽を持とうと>努力するだけです。
- ジャン=ジャック·サンペ
ジャンジャック·サンペは夢と日常に同時に
根を下ろす絵を描く。
しかし、その裏にはとても鋭く
精巧な作業が隠れている。
- パトリック·モディアーノ
世界的なイラストレータージャンジャック·サンペの新しい作品集
自ら<滑稽デッサン作家>と自分を紹介するジャン=ジャック·サンペの新しい作品集『ずっと耐えて!』が開かれた本で紹介される。2020年に発表した今回の本も「現代社会について社会学論文1000編より多くのことを語っている」という評価にふさわしい作品だ。通常、大量部数を誇る新聞に掲載されるユーモラスな絵は決まった面に、あるいは記事と広告の間の空白を埋める用として載せられ、娯楽物とみなされた。年を重ねるうちに、このユーモアたっぷりの絵は日刊紙と週刊誌から姿を消し、その代わり時事漫評がその場を占めた。したがってジャンジャック·サンペは他のメディアに方向を変えたが、特に米国の週刊時事文芸誌『ニューヨーカー』の表紙絵を描き始め注目を集めた。何よりも彼は定期的に素敵な本を出版し、独創的な絵を画廊に展示し、展示会用に特に絵を制作することもいとわなかった。このようなやり方でサンペは新しい観客、さらにややこしく現代美術に馴染みのある観客を取り込んでいった。何とか笑いをプレゼントしなければならない<ギャグ>はもう幕を下ろし、暗示、ユーモア、機知、詩が前面に出るようになったのだ。サウル·スタインバーグをはじめ、他の何人かの芸術家と共にサンペはユーモラスな絵を芸術の仲間入りに引き上げた。
サンペが捉えた愉快な日常と風景
ジャン=ジャック·サンペは初めて見る人でも暖かさを感じ、簡単に目が離せないほど吸引力を持つ絵を描く。か弱い線と淡々とした彩色で、人間の内面の懐かしさと物足りなさ、そして孤独な姿まで捕捉する。彼の絵にはこの世の哀れな犠牲者たちが澄んで率直ながらも、透明な表情で姿を現す。サンペの新しい作品集『ずっと耐えて!」は刺激的ではないが余韻があり、また軽くなくても軽快さが持てるすべての長所を持っている。サンペの本は<読むための>本ではなく<見るための>本だ。問い詰めて結論を下す必要はない。頭ではなく、目で追いかけていくことを望む彼の絵は、簡単に心に響いて、数ページめなくても親密な雰囲気で読む人たちを包み込む。簡単に描いたようだが、約40冊を超える作品集を出した今も、サンペは良い考えが湧き出るほど無数に何度も一つのテーマを絶えず思い出し、また最大限効果的な方式で表現しようと努力している。自分の作業結果になかなか満足せず厳しい彼は、ある日は紙一束、だから100枚程度を使い切ってもいい絵を描けないという。また、ある時は挿絵1枚を描くために2ヶ月間ぶら下がったこともある。その度に彼はただ描く。そして、また、また、そして······….
インタビューの中で
自分の職業を定義してみたら何と言いますか?
俳諧デッサン作家です。滑稽なデッサン作家ではありません。同種療法的な医師と呼ばず、同種療法医と呼ぶのと同じです。しかも、あえて誰が自分自身を指して「ユーモア的」と言えるでしょうか?それは読者が決める事項です。デッサン作家は、今の私の場合がそうですが、ただ<ユーモアを持とう>努力するだけです。
有名なので変わったことはありませんか?
有名だなんて、それは何の意味もない言葉です!良い考えが湧き出るように無数に何度も一つのテーマを持って掘り出さなければならない時、また幸い良い考えが浮び上がってもその考えを最大限効果的な方式、その考えにふさわしい唯一の方法で表現しなければならない時、私のような作家は有名になったからといって自信がより多くつくわけではありません。
朝起きたらコーヒーを飲みますか、それともお茶?
コーヒーを飲みます。その後、画板に直行します。
朝早い時間にはたいていどんな気分ですか?
神経が少し鋭い状態です。だから、その時は私に話しすぎてはいけません。注意力が乱れて別の道に漏れるのではないかと気をつけます。
画板の前には一度にどれくらいの間くっついていますか?
午前中はほとんど全部です。ランチはモンパルナスの行きつけのレストランに行って食べたりします。食事は一人ではしません。そしてたいていは食事の後に必ずデザートを食べます。私はレストランに入るとすぐに、その日のデザートが何なのかまず尋ねます!あまりにも食べるのが好きなんですよ。家に帰ってからは必ず一眠りします。それから、午後の合間から夕方になるまで、また作業に没頭しましょう。
筆を完全に置いて休んだりもしますか?
違います、違います。いつも少しずつでも常に作業をします。絶えずですね。
デッサンをする時、何よりもまずデッサンを鑑賞する観客を念頭に置いて描きますか?それとも、まったく気にしませんか?
私は何よりもまず編集長を念頭に置いておきます。今現在寄稿している様々なメディアの編集長のうち1人、今作業中の絵を送るべきところの編集長です。彼がこのデッサンを理解するだろうか?この絵を気に入ってくれるかな?
作業する時、音楽を流しておきますか?
沈黙か音楽かという時期によります。最近は静かな状態で作業しています。
アイデアが浮かんだら手帳に書いておきますか?
絶対に。私は画板だけにすべてを任せるだけです。デッサンがまだ下絵の状態であれ、すでに50回も修正された状態であれ、すべてのデッサンはこのスケッチブックにそのまま保存されます。
だから、画板の上に置かれたデッサンたちはみんな進行中なんですね。習作を残したりはしませんか?
絶対に。
筆を握るにはどんな条件が満たされなければなりませんか?
デッサンに着手するために必要なアイデアという非常に抽象的な世界に没頭するためには、まず私の日常のすべてを完全に手放さなければなりません。ずっと前から私はとても平凡な一つの事実に執着していますが、それはつまらない人間とその人間に提起される問題の間の不均衡です。それでデッサンに着手する時には発動をかけるために、まるでピアニストが音階の練習をしながら手をほぐすように、いつも大きな建物や木、そしてその下を通る小さな男性や女性を描きます。- 『レックスプレス』とのインタビューの中で